名作再視聴シリーズ(←今つけた)第3弾は、
K-suke@くんに貸してもらった(ありがとう!)ロボットアニメ
『無敵超人ザンボット3』です。
1977年にわれらが名古屋の名古屋テレビで放送された日本サンライズ創設初となるオリジナルTVアニメ作品です。監督はもちろん富野喜幸監督で、全23話。
子供の頃に本作を観てトラウマになった、なんていう声を少なからず耳にしますけど‥‥‥ウン、言えてる。なるわ、これはホント。(;´Д`)
なんたってもうのっけから主人公:勝平とその一家:神ファミリーが迫害されまくっちゃうの!
観てる子供たちの大多数が恐らくそうであるように、主人公視点で見ると、宇宙から攻めてくる謎の敵:ガイゾックと戦って地球を守ってるというのに、なぜか一般市民に非難され迫害されてしまう、この不条理。
それは、戦いの巻き添えになって家族や大切な人を傷つけられ失った怒り・悲しみであったり、家屋や町といった生活の場や財産を破壊され失った喪失感・絶望感であったり、神ファミリーがスーパーロボットと合体戦艦という超兵器をいつの間にか手にしていたというやっかみ・疑いであったり、敵に対して自分達はあまりにも無力でどうすることもできず逃げ惑うしかないが故の歯がゆさ・くやしさであったり、自分たちが襲われる理由・敵の目的がよくわからないが故の混乱・不安・憶測であったり‥‥‥。
個々の事情は子供たちにも分かりやすいように描かれているんです。
しかしそれらが人々の間で集まり重なった時、本来ならば感謝してもらえるはずの、ほめてもらえるはずの、応援してもらえるはずの主人公たち少年少女が、大人だけじゃなく子供・友達にさえ、逆に非難され迫害されてしまう、このギャップ。
恐らくまだ不条理なんて言葉があるのを知らない、不条理なんて物事がこの世にあることをまだ知りたくない、不条理なんて言葉で物事を一般化して見ることのできない子供たちにとっては、自分たちが何気なく観ているロボットアニメからこの様なリアリティが突きつけられたら、そらぁ恐ろしい衝撃だろぅなぁって思います。
さらにひとつ付け加えますと、今現在の僕があの世界の一般市民だっら、同じ様に神ファミリーを非難せずにいられるだろうか?逆に納得できてしまうところがまたなんとも恐ろしいです。
先の
『∀ガンダム』でもそうだったと思いますが、富野監督が昔から再三に渡って描き続けている
「相互理解の難しさ」ってものを容赦なくぶつけられました。
恐ろしい・ぶつけられたと言えば(←ちぃとこじ付け)、
「人間爆弾」の話も恐ろしかったですよぉ~~~。
最初の頃は自分たちを妨害する神ファミリーを標的にしていた敵ガイゾックですが、中盤頃からは標的を一般市民に変えてきます。後半からは市民をさらってきては爆弾を埋め込む手術を施し、それらの記憶を消してからまた市民の中に放し、そして適当な頃合いに爆発させる、という戦法を取ってきます。
これが恐い。
どこに人間爆弾がいるかわからないし、いつ爆発するかもわからない。わかったとしても爆弾の除去の仕方は不明なので、その人をその後どう扱うというのだろうか‥‥‥。
そしてなんといっても、自分が人間爆弾にされたことを知ってしまった人たちの絶望、狂乱、悲痛な冷静さといったらもう、ただただエグい。
昔の不治の伝染病等の現場でもこんなことが?などと想像するのは大変に不謹慎ですけど。あるいは、人間爆弾にされたことに無自覚なまま、想いを寄せる主人公の部屋で突然に爆死した幼馴染の女の子はまだ幸せな方だったかも?などと想像するのも恐らくは不謹慎ですけど。
ですが、そう考えずにはいられないこと、それ自体がまたエグい。
原作版
『デビルマン』みたく、それによって疑心暗鬼が社会全体に蔓延して人間同士が殺し合った挙句に人類自滅する‥‥とまではならなかったのが救いといえば救いかもしれませんけど。でもこれよく放送できたなぁ。
‥‥‥ってなかんじで、感想としてはなんか落とし所がわかんなくなってきちゃいましたけど、とにかくいろいろ凄かったです。終盤では主役ロボも主役戦艦もお年寄りも女の子もペットさえも死んじゃうし。
でも最後の最後で、全てを失って傷つき倒れた勝平を、かつては神ファミリー迫害の急先鋒だったライバルの香月くんが、もうひとりの幼馴染の女の子が、脱出して生き残った家族が、そしてかつての町の人々さえもが、夕日に包まれてやさしくねぎらってくれたことで最後の最後にはささやかな救いがあった物語だと思いたいのです。
■蛇足コーナー♪
◆地球側主要キャラ戦没者リスト(およそ死亡順):
・アキ(勝平の幼馴染の女の子。人間爆弾にされて艦内の勝平の自室にて爆死)
・勝平のじいちゃん(敵要塞の弱点へ2番艦で体当たりして戦死)
・勝平のばあちゃん(同上)
・勝平の父ちゃん(3番艦で妻の脱出カプセルを守り、最強メカブースト2体を身をもって撃破しつつ戦死)
・宇宙太(大破したザンボットから勝平のザンボエースを切り離し、敵要塞への突破口を開くべく体当たりして戦死)
・恵子(同上)
・勝平の犬(千代錦って名前らしいがセリフでは“じゅうにしき”って聞こえる。勝平と共にザンボエースに搭乗しており敵要塞内へ突入した際に被弾して戦死)
・勝平の兄ちゃん(ザンボエースを乗せたまま地球へ落下する敵要塞を1番艦で身をもって防ぎつつ戦死)
・宇宙太の父(同上)
・恵子の父(同上)
◆好きなキャラクター
・香月くん(古川登志夫さんイカス! 神ファミリー迫害の急先鋒だったけど、勝平を少しずつ理解して助けになっていく様が感動的です)
・勝平のじいちゃん(永井一郎さんイカス! 現実を鋭く鑑みつつ思慮深く理想を追うどっしりと構えたリーダーシップぶりがナイスです)
・勝平の父ちゃん(たくましく包容力と威厳のある父親像ぶりがナイスです)
・キラー・ザ・ブッチャー(敵の残酷なボスだけど、コミカルなクレイジーさがイカス!
“御意、ブッチャー”)
◆あとコレ“さぁて、どう戦い抜くかな?” (´ρ`)